updated 06/03/14
KanPara Press 〜感じるパラリンピック〜カンパラ
“超人列伝コラム”
〜トリノパラリンピック〜
(2006年3月11日〜19日)
小林 深雪
遠藤 隆行
シエーン フェルダー
カーリングイギリスチーム
新田 佳浩
東海 将彦
ブライアン マッキーバー
ビョンスタ ヘルゲ
鈴木 猛史
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パラリンピック超人列伝
文:隈元大吾 写真:九十九千晶
14日、イギリスチームのフランク・ダフィのデリバリー(投球)=ピネローロ

 イギリスのスキップ、フランク・ダフィが放った最後の一投はゆっくりと、しかし確実に意図したコースを突いているかに見えた。だが放たれたストーンはほんの数センチ、あるいは数ミリ彼の狙いから逸れ、ハウスと呼ばれる3.66メートルの円を越えた。この瞬間、延長にまでもつれこんだ接戦に幕が下りた。

 「非常に質の高いゲームだった」と、イギリスチームを率いるトム・ペンドゥリー監督はカナダとの一戦を振り返る。 「勝敗を分けたポイントは私にも判らない。ただ負けたのは残念だが、選手たちはよい集中力をもって戦ったと思います」

 優勝候補と目される両雄の対戦は、序盤から互いにポイントを奪い合う拮抗した展開を見せた。第1エンドでイギリスがリードすると、第2エンドではカナダが逆転する。第3、第4エンドでともに1点ずつ取り合い3−5とし、第5エンドでイギリスが3点を奪って6−5と逆転に成功した。しかし最後となるはずの第6エンド、カナダは最後の投球でふたたび同点に追いつき、試合は延長戦にまで至ったのだった。

 「ノルウェーをはじめ、デンマーク、スイス、カナダなど強いチームがひしめいている」ペンドゥリー監督は試合前からライバルの名を挙げ、トリノパラリンピックで勝ち上がる厳しさを話していた。そして指揮官のいうとおり、グループリーグの戦いは熾烈を極めている。世界8ヶ国のチームが4つのグループに分かれて総当たり戦を行ない、セミファイナルへの切符を争う。つまり各チーム7試合をまずは戦う計算になるが、6試合を終えた14日の段階で、1位がイギリスに勝利したカナダとデンマーク、つぎにイギリスとノルウェー、スイス、スウェーデンが並び、その下に地元イタリアとアメリカが控える。星取りは1位から4勝2敗、3勝3敗、2勝4敗と拮抗しており、上位のどのチームがセミファイナル、そしてファイナルに進出するのか、現段階ではまったく見えない状況だ。

 厳しい戦いのなか、「経験が我々の武器」と、ペンドゥリー監督はいう。 「今大会、イギリスチームはスコットランドとイングランドから合計10人の選手を代表に選びましたが、いま試合に出場しているのはすべてスコットランドの選手です。世界選手権を制するなど豊富な経験をもち、また3年間、ともにトレーニングを積んできたので一緒に過ごす時間も長く、互いに理解を深めている。くわえて集中力、そしてオンオフの切り替えという試合において重要なファクターを、我々は学んできました」

 宿敵カナダに敗れはしたものの、カーリング発祥の地・スコットランドから選手を擁するナショナルチームの誇りは高い。「メダルを獲りたい。目標のために我々のすべきことは、ベストゲームをするだけ」と、ペンドゥリー監督は先を見据えた。

 チームの司令塔であり大黒柱のダフィも、指揮官の言葉に続く。 「カナダとのゲームは想像していたとおりタフだったが、同時に素晴らしい試合でもあった。すぐに気持ちを切り替えて、明日のアメリカ戦に備えたい」

 明日15日の試合が今後の行方を大きく左右することは言うまでもない。どのチームがこの混戦を抜け出すのか。ただひとつ、経験ほど得がたい武器はないだろう。

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