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その一歩が、パラリンピックへ!──J-STARプロジェクトが全国展開中

片脚で立ち幅跳びの測定に挑む冨岡忠幸さん(撮影:越智貴雄)

日本パラスポーツ協会は28日、兵庫県神戸市で「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STAR)」の基礎測定会を開催した。将来のパラリンピック出場を目指すアスリートの卵たちが、自らの可能性を試すために集まった。今年で9回目となるJ-STARは、これまでにパラリンピックの日本代表に選ばれた選手たちも多数輩出しており、この測定会は世界への入り口として注目を集めている。

J-STARプロジェクトは、パラリンピックで活躍する次世代のアスリート発掘を目的に全国のエリアごとで展開している取り組みだ。日本パラスポーツ協会と関係団体・施設が連携し、肢体・視覚・知的障がいのある人々を対象に、基礎体力測定や競技相談会を通して、将来性のあるアスリートを発掘し、育成・強化コースへとつなげる。参加対象は、2025年4月1日時点で満11歳(小学6年生)以上の人。この取り組みは、東京や大阪といった都市部に限らず、全国エリアで実施されることで、より多くの才能と出会うチャンスを生み出している。

「いつか自分もパラに出て、金メダルを取りたい」

測定会に臨み、笑顔を見せた森さくらさん。「いつか金メダルを取りたい」と夢を語った(撮影:越智貴雄)

神戸市立市民福祉スポーツセンターで行われた今回の測定会には、午前と午後の2部構成であわせて35人が参加。参加者は握力測定や立ち幅跳び測定、短距離走などの基礎体力測定に挑んだほか、競技団体のスタッフとの相談を通じて、自分の能力や特性に適したパラスポーツとの出会いを探った。会場には、スポーツ経験者、初めてスポーツに取り組む人の緊張感と、これから何かが始まるという期待感が入り混じった空気が漂っていた。

大阪市から参加した高校1年生の森さくらさん(16)は、「普段から卓球をしていて、スポーツセンターの職員の方に勧められて参加しました。最初はめっちゃ緊張してたんですけど、運動しているうちに少しずつ緊張がほぐれてきました」と話した。大阪には、昨年のパリ・パラリンピック卓球(知的障がいクラス)で金メダルを獲得した和田なつき選手がいることについて聞かれると、「和田さんのプレーはほんまにすごくて、いつか自分もパラに出て、金メダルを取りたいです」と目を輝かせた。

「運動をまた始めたい」と測定会に参加した恒松真さん(撮影:越智貴雄)

同じく大阪市から参加した会社員の恒松真さん(34)は、「もともと、スポーツが好きで、最近また運動したいと思い、長居障害者スポーツセンターに通い始めました。職員の方に勧められて参加しましたが、緊張しました」と話した。

また、過去にアンプティーサッカーのワールドカップに3度出場し、パラカヌーの経験もある冨岡忠幸さん(46)は、「トレーナーの勧めもあって、いろんな競技を一度見てみようと思い、参加しました。昔からハンティングが趣味で、タカを飼っていたこともあるので、射撃に興味があります。自分にチャンスがある競技があれば、挑戦してみたいです」と語った。

パラ陸上の強化委員パスウェイディレクターの楠本憲明さんは、「J-STARを経由してパラリンピックに出場した選手がたくさん輩出されています。ここで経験できることが次のステップにつながっていて、今後の可能性を広げるという意味においてとても有意義なものになると思います」と話した。

全国で続く才能発掘の旅

腰に測定器具を装着し、垂直跳びに挑戦する参加者(撮影:越智貴雄)

今回の神戸会場を皮切りに、J-STARプロジェクトはこのあとも全国各地で測定会を開催予定だ。九州、東北、北海道、関東など、さまざまな地域エリアでの実施が決まっており、地方に暮らす人々にとっても、パラスポーツとの出会いの場が身近なものになっている。

【今後の開催予定】

7/5(土) 九州ブロック(大分県・大分市)
7/20(日) 中国ブロック(山口県・下関市)
8/2(土) 北海道ブロック(札幌市)
8/10(日) 東北ブロック(福島市)
8/31(日) 関東ブロック(東京都・世田谷区)
9/13(土) 中部東海ブロック(名古屋市)
9/15(月・祝) 北信越ブロック(新潟市)
9/27(土) 四国ブロック(松山市)

J-STARプロジェクトは、競技経験の有無を問わず、チャレンジしたいという気持ちを持つ人を歓迎している。詳細や申し込み方法は、日本パラスポーツ協会の公式サイト内「J-STARプロジェクト」特設ページで確認できる。
あなたの一歩が、日本代表への第一歩になるかもしれない。

取材・文:越智貴雄

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