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競技レポート

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米国代表も参戦!東京初の車椅子ソフトボール大会開催

国際親善試合 日本 vs 米国戦。試合は、米国が圧勝した(撮影:越智貴雄)

 7日、「中外製薬2017車椅子ソフトボール大会in東京」(東京臨海広域防災公園特設会場)が行なわれた。国内では2013年から本格的に普及活動が始まり、毎年7月には北海道で全日本選手権が開催されている車椅子ソフトボール。現在では、9月には埼玉西武ライオンズが主催の「ライオンズカップ」や、2月には「北九州大会」が行なわれているが、東京では今大会が初開催となった。東京から九州までの10チームに加えて、海外からは米国代表チームが参戦。この日の最終戦では、国際親善試合として「日米対決」が行なわれた。

俳優の市原隼人さんの始球式で幕開けた国際親善試合 日本 vs 米国戦(撮影:越智貴雄)

米国が完全試合達成で圧勝

 日が傾き始めた午後3時過ぎ、特設会場には突如2008年に放送された人気テレビドラマ「ROOKIES」(ルーキーズ)の主題歌『キセキ』(GReeeeN)が流れた。すると、車いすに乗り、ユニフォーム姿で現れたのは、ドラマで主役の安仁屋恵壹役を演じた俳優の市原隼人だ。彼の始球式で、日本代表と米国代表との「日米戦」が幕を開けた――。

 車椅子ソフトボールの発祥地である米国では、半世紀前から全米選手権(2014年からは世界への普及を目的に「ワールドシリーズ」に名称を変更)が行なわれるなど、人気の車いすスポーツだ。一方、日本では2013年に「日本車椅子ソフトボール協会」が発足し、同年からは北海道で「全日本車椅子ソフトボール選手権大会」が開催されている。

 日米での違いは、完全に「障がい者スポーツ」として普及した米国に対し、日本では「障がいの有無に関係なく、誰でもできるスポーツ」として普及活動が行なわれている点だ。そのため、日本で行なわれる大会では、健常者と障がい者と入り混じってプレーする。

 一方、日米で共通した目標としているのが「パラリンピック種目にすること」だ。そのため、各クラブチームは健常者と障がい者の混成だが、日本代表チームとする場合は障がいのある選手のみとなる。

 その日本代表チームが米国代表チームと対戦するのは、今回で2度目となる。初対戦となった昨年は敗れはしたものの、わずか1点差という好ゲームだった。今年もそんな試合が期待されたが、結果は米国が13-0と圧勝。日本は米国の堅守に阻まれ、完投したジェフリー・ヤックリーに1安打完封にしとめられた。

膨らむ若手メンバーへの期待

 しかし、この1年で日米の差が開いてしまったのかと言えば、一概にそうは言えない。メンバーの顔ぶれが違うからだ。監督および主将を務めた石井康二は試合後、こう語った。

「昨年とはかなりメンバーは違うものの、単純に個々の能力だけを考えれば、同等かもしくは上回っているんじゃないかなというふうに感じていました。ただ、チームスポーツの難しさが出た試合だったなと思います。昨年のメンバーは、日本でこの競技が始まった時からずっとプレーしている選手が多かったんです。一方、今年はフレッシュなメンバーがたくさんいた中で、チームとして戦うまでには至っていなかったのかなと。それでもベンチでは『1本打って意地を見せよう』という雰囲気は最後まであったことは今後につながると思います」

 普段の練習やクラブチーム同士の試合では快音を鳴り響かせている若い選手たちも、「JAPAN」のユニフォームを着てプレーする「日米戦」は、やはり独特の雰囲気にのみこまれたところがあったのだろう。いつもはそう難しいことではない「ヒット1本」が非常に遠くに感じたに違いない。しかし、石井は「この経験が、今後どう彼らの成長につながっていくのかが楽しみ」と期待を寄せた。

予選リーグ(ディヴィジョン3)で、上智大OB、OGが中心となり結成された上智ホイールイーグルスは2勝をあげた(撮影:越智貴雄)

 さて、日米戦とは別に、全国から集結した10チームと米国代表チームとで、3つのディヴィジョンに分かれての予選リーグが行なわれた。明日は、各ディビジョンで決勝トーナメントが行なわれ、順位が決定する。強豪揃いのディヴィジョン1では現在、米国と、今年7月の日本選手権で優勝した北九州シルバーウィングスが2勝0敗で並び、明日の第1試合、リーグ戦最終戦で直接対決が行なわれたうえで、決勝トーナメントに突入する。果たして、北九州が日本代表チームの借りを返すことができるか。明日8日は、9時から試合開始となる。

(文・斎藤寿子)

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