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自由形400m世界ランキング4位の小池「練習を積んで自分を変える!」 パラ水泳

自由形400mで世界を見据える小池(撮影:越智貴雄)

 3月3日(土)のパラ水泳春季記録会(静岡県富士水泳場)に、覚悟を持って出場する選手がいる。昨年12月に開催された「ドバイ2017アジアユースパラ競技大会(10日~13日)」で旗手を務めた、小池さくら選手だ。

 アジアユースパラでは100m平泳ぎでベストが出し、滑り出しは好調だった。しかし、最後に出場した400m自由形はベストタイムから20秒も遅く、電光掲示板を見る小池選手の表情に、昨日までのはつらつとした感じはまったくなかった。

 そして3月3日(日)、リベンジを果たすため、小池選手は400m自由形にエントリーをしていた。あれから約2か月半。この日のために日々練習を積んできた。

 本大会は、8月開催の「パンパシフィックパラ水泳選手権 2018」日本代表選手選考審査と、10月開催の「アジアパラ競技大会2018」日本代表推薦候補選手審査を兼ねるため、プール会場はいつも以上に緊張感が漂っていた。400m女子自由形は、プログラムナンバー5。小池選手は1レース目3コースだった。

 記録会前の2月のある日、練習後の小池選手に、どのような思いで記録会に向かっているのか話を聞いた。

――練習は順調ですか?
「はい、できていると思います。自信が持てるかどうかの裏付けは練習しかありませんから。本来、気持ちは強いほうではないと自覚はしているので、弱気が出ないようにするためにも練習しかない、と分かってるつもりです」

――アジアパラユースの400mでは弱気が出てしまったんですか?
「自分でもよく分からないんです。前日までは全然緊張感もなかったのに、招集前になって気持ちのバランスが取れなくなってしまって……まだまだだと強く思いました」

――練習はどれくらいしているのですか?
「週に5~6回、1日最低でも4500m、多いときで7000mくらいです。去年あたりからぐっと練習内容は濃くなったのですが、これでも十分だとは思ってはいません」

――3月の記録会で400mはいいタイム出せそうですか。
「そのつもりで練習しています。でも……本当は400mは好きじゃないんです(笑)。ただ、世界でメダルを狙えるとしたらこの種目(2017年世界ランキング4位)。2020年、東京大会では嫌いな400mで、できるだけいい色のメダルを取りたいと思っています」

見据えているのは世界大会

――すでに2020年の東京を意識してるんですね。
「そのころ私も大学生なので、中核を担う選手になっていたいと自覚しています。こういう意識を持てたのもアジアパラユースに出たことと、旗手を経験したことが大きかったと思います。私、ユースではない世界大会に出たいんです。だから次の記録会は2つの世界大会の選考会でもあるので、絶対にいい記録を出して代表になりたいです」

――2016年の記録会は、リオ大会の代表選考会でしたね。
「はい、あの時も周りのピリピリ感が伝染して飲まれてしまい、自分の泳ぎができなかった。リオは家のテレビで見てましたが、冷静に自分の力不足を実感しました」

――今回は大丈夫そうですね。記録会での400mの目標タイムは?
「5分35秒……9にしておきます! あと、100m自由形は1分20秒を切る。100m平泳ぎは1分49秒99かな(笑)」

 冗談っぽく小池選手は、こう答えてくれた。普段の小池選手は、やけに肩幅が大きい以外は、笑顔を絶やさない普通の今どきの若者だ。肩周りもここ数年で急に大きくなった。試合用の伸びない水着に着替える時はスタッフが3人付き、腕を通すのにみんな大汗をかくそうだ。

 こんなことも言っていた。
「世界大会に出て、400でランキング1位のコーン選手と英語で話してみたいんです!」

――英語が得意なんですか?
「勉強全般苦手ですが(笑)、しいて言うなら英語と体育が好きです。だから、コーン選手と話すためなら勉強したいと思います」

 なかなか面白い。でも話したい理由を聞くと納得した。なぜなら「コーン選手はメンタルが強くて、どんな状況でも結果を残す人だから」と。
 
 最後に、こんな質問をぶつけてみた。

――今年、多くの皆さんに小池選手のどんな泳ぎを見てもらいたいですか。
「力強い泳ぎ、ピッチが落ちない泳ぎ」
 即答だった。そしてこう付け加えた。
「できれば、国内にライバルがほしい。国内大会から、競り合って勝負をして世界を目
指したい」

 もう小池選手のメンタルは、強気へと大きく舵を切ったのではないだろうか。

 3日、小池選手は400m自由形で、代表選手の候補を目指す。世界で思う存分、戦ってほしい。

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小池さくら選手(クラス S7/SB6/SM7)
2001 年 4 月生まれ。峰村 PSS 東京所属。
現在、日体桜華高等学校在学。
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(文・棟石理実)

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