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小松沙季、やり投げで国際デビュー バレー→カヌー→陸上の新挑戦【パラ陸上世界選手権】

やりを力強く投げ込む小松沙季(撮影:越智貴雄)

 ニューデリーで開催されているパラ陸上の世界選手権(大会5日目)は1日午前、女子やり投げ(F56=車いす)決勝が行われ、小松沙季(電通デジタル)が15メートル75の日本新記録をマークし、9位に入った。優勝はラトビアのクルミナ選手で26メートル18だった。

 小松は元パラカヌー日本代表。2021年に競技を始めると、同年夏の東京パラリンピックに出場し、準決勝まで進んだ。続くパリ大会でも代表に名を連ねたが、体調不良により無念の棄権となった。新たな挑戦の舞台として選んだのがパラ陸上のやり投げ。転向からわずか数か月で日本記録を樹立し、早くも世界の舞台に立ち、新たな一歩を踏み出した。

 大会前の国際クラス分けでは、従来のF54からF55への変更が決定。クラスが変わる中での挑戦となったが、堂々と9位に食い込んだ。

試技に臨む前、前を見据える小松沙季(撮影:越智貴雄)

 試合後、小松は「お客さんも観客も少なくて、普段の練習や国内大会に近い雰囲気でした。あまり飲まれることなく、自分の投てきができたと思います」と振り返った。

 今後については「クラスは最終的にF55に落ち着き、今回、世界の選手の投てきを実際に見て戦うイメージができました。目標はロサンゼルス・パラリンピックでのメダルです」と力強く語った。

 小学生から大学までバレーボールに打ち込み、社会人ではVリーグでプレー。2019年に発症した病気で車いす生活となったが、その後パラカヌーに挑戦し、わずか半年で東京パラリンピックに出場した。挑戦のたびに新しい道を切り開いてきた小松が、次に挑む舞台は世界のやり投げ表彰台だ。

(取材・文:越智貴雄)

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