「手話の君が代」が会場を包んだ。茨隆太郎、200m自由形で金&日本最多メダル記録に並ぶ歴史的瞬間【東京デフリンピック】

表彰式、金メダルを胸に手話での君が代を披露した茨選手(撮影:越智貴雄)
東京で開催されている聴覚障害者スポーツの祭典「東京デフリンピック」は21日、競泳の男子200メートル自由形決勝が行われ、デフリンピック5大会目となる茨隆太郎が1分54秒72で金メダルを獲得した。
前日の400メートル自由形で銀に終わり、悔しさを抱えたまま迎えたレース。だが茨はその重圧を真正面から跳ね返し、見事優勝。これでデフリンピック通算メダル数は21個目となり、日本選手の“最多記録”に並んだ。
表彰式では、君が代が流れる中、茨は念願だった“手話の君が代”を披露し、会場が一体となった。
【レース後の一問一答】

スタート台から勢いよく飛び込む茨選手(撮影:越智貴雄)
――レース終わって、今の感想はいかがですか?
昨日の400メートル自由形が2位ということで、すごい悔しい思いをしたんですが、今日こそはと思い、金メダルを取ることができました。大変嬉しいです。
――タイムについてはどう感じましたか?
自己ベストにはなりませんでしたけれども、今、自分の持っている力は十分に発揮できたと思います。

力強いストロークで水面を切り裂きながら進む茨選手(撮影:越智貴雄)
――通算21個のメダル、日本選手の最多記録に並びました。
自分もそこに並ぶことができました。明日また競技がありますので、一つでも多くメダルを獲得して21を超えられるように頑張ります。
――昨日、銀メダルを取ってから家族とはどんな話をしましたか?
昨日、息子が2歳の誕生日でした。本当は金メダルをかけてあげたいなと思っていたんですが、それができなかったので、今日は一日遅れになりましたけれども、金メダルを取ることができましたので、息子にかけてあげたいなと思います。

レース後、ガッツポーズをみせた茨選手(撮影:越智貴雄)
――競技を続けるモチベーションはどこにありますか?
前回のデフリンピック(ブラジル)が終わった時、競技を続けるかどうか迷っていました。ただ、2025年東京でデフリンピックが開催されると決まった時に、その日から練習を開始しました。苦しい練習もありましたけれども、それを積み重ねた結果が、今回の勝利につながったと思います。
――明日以降の意気込みをお願いします。
明日から、専門種目が続きます。金メダルを目指して頑張りたいと思います。
――手話で君が代を歌った感想を教えてください。
東京デフリンピックで金メダルを取って、日本国歌を手話で歌うというのを目標にしていました。今日ようやく金メダルを取って、客席の皆さんと一緒に国歌を歌うことができました。それはとても嬉しいことです。
取材・文:越智貴雄





