フォトニュース — 2017年2月24日 at 8:51 PM

東京マラソン直前企画 パラ陸上若手ランナー特別対談「日本人トップは譲らない」~ 渡辺勝 × 鈴木朋樹 ~

東京に向けて大きな期待が寄せられている若きランナー、渡辺勝(右)と 鈴木朋樹(撮影:越智貴雄)

東京に向けて大きな期待が寄せられている若きランナー、渡辺勝(右)と 鈴木朋樹(撮影:越智貴雄)

 現在、日本の車いす陸上界において成長著しく、大きな期待が寄せられている2人の若きランナー、渡辺勝(25=凸版印刷)と鈴木朋樹(22=城西国際大)。ともに昨年は、リオデジャネイロ・パラリンピックへの出場が叶わず、悔しい思いをした。しかし、だからこそ2020年東京パラリンピックへの思いは強い。これまで一度も2人でじっくりと話すことがなかったという渡辺と鈴木。今回は、そんな2人の特別対談を行なった。26日の東京マラソンに出場するリオの金メダリストのマルセル・フグ(スイス)について、2020年東京パラリンピックへの思い、そしてお互いをどう思っているかなど、「本音」を語ってもらった。

昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックで金2(800m、マラソン)、銀2(1500m、5000m)と計4個のメダルを獲得したマルセル・フグ。パラ車椅子陸上界の絶対王者だ(撮影:越智貴雄)

昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックで金2(800m、マラソン)、銀2(1500m、5000m)と計4個のメダルを獲得したマルセル・フグ。パラ車椅子陸上界の絶対王者だ(撮影:越智貴雄)

数年前までは緊張していた姿を見せていた王者

――今年の東京マラソンには、昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックで金2(800m、マラソン)、銀2(1500m、5000m)と計4個のメダルを獲得したマルセル・フグが出場します。現在、800m、1500m、5000m、1万mの世界記録保持者で、パラ陸上界の「王者」と言っても過言ではない彼の存在は、2人にとってどのようなものなのでしょうか?

渡辺:特に僕自身は、彼一人に固執しているわけではありません。ただ、今の時点では、パラリンピックの金メダルを狙うからには、必ず超えていかないといけない相手であるのがマルセル選手。それは間違いないと思っています。

鈴木:僕にとってマルセル選手は目指すべき「場所」に立っている選手ですし、そこを追い越して、絶対に勝ちたいと思っている存在です。自分がメインではないマラソンのレースに出場するのも、正直言って、マルセル選手と一緒に走りたいからというだけなんです。今回の東京マラソンのように招待選手ということになれば別ですが、それ以外だったら、マルセル選手が出ないのなら、僕は出る必要はないなと思っています。僕の中でマラソンは勝つことよりも、マルセル選手と同じ空気感の中で一緒に走るという経験こそがプラスになると思っています。

――マルセル・フグについて、印象に強く残っていることとは?

渡辺:僕が初出場で銀メダルを取った、2013年のパラ陸上世界選手権(フランス・リヨン)での1万メートルのレースでマルセル選手と一緒に走ったのですが、意外にもレース前の彼はおどおどしていて、すごく緊張しているようでした。招集所で2、3メートルの間を行ったり来たりして、きょろきょろと落ち着きがなかったんです。あまりにもずっと行ったり来たりしているので、逆に「大丈夫かな?」と心配になったくらいです(笑)。あまりにも意外で、驚きました。正直、その時はあまり怖くは感じなかったですね。ただ、レース本番では圧倒的に強かったですよ。「あぁ、こんなに強い選手でも、あんなに緊張するものなんだな」と思いました。

鈴木:僕の中ではそういう印象はないので、今聞いて、ビックリしました。僕が初めてマルセル選手と同じレースを走ったのは、2015年のパラ陸上世界選手権(カタール・ドーハ)での800m予選でしたが、その時はそんなふうに緊張している様子はありませんでした。ただ、マルセル選手でも緊張することがあったというのを聞いて、「彼も人間なんだな」と、ちょっと安心しました。

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マルセル選手の強さは、今の時代に不可欠な「スプリント力」

――実際にレースでマルセル・フグと一緒に走ってみて、感じたことは?

鈴木:僕は2015年の世界選手権で初めて一緒に走ったのですが、スタートで僕がうまく彼の前に出ることができたんです。その時に、彼にも自分のことを少しはアピールできたんじゃないかなと。ただ、最後、直線に入った時に、すごい勢いで抜き去って行ったんです。「やっぱりすごい選手だな」と改めて思いました。

渡辺:僕は彼を見ていて、ロンドンからリオではかなり変わってきたなぁという印象があります。ここ数年は、自信を持って前を走っている感じがするんです。以前は、狙いに行って前を走るけれども、そのままいかずに後退するというようなシーンもあったんです。でも、今では最後まで先頭で行ってしまいますからね。リオの800mでも、最初から行って、そのままトップでゴールしてしまった。自信があるんだな、と思いましたね。だからこそ、走りにも磨きがかかって、さらに怖い選手になっているなという印象を受けました。

――マルセル・フグの強さはどこにあると思いますか?

渡辺:なぜ強いのか、僕が知りたいです(笑)。ただ、あれだけ多種目にわたって強さを発揮できるのは、スプリント力があると強いというのは、車いす陸上の特徴かなと思います。

鈴木:僕が感じているのは、彼は本番で練習の通りにできた時に強さを発揮する選手かなと。2015年にスイスで行なわれたレースで、全くマークしていなかったタイ人の選手に、マルセル選手が負けたことがあったんです。おそらく、そのタイ人の選手がいなければ、彼のイメージ通りに走って勝ったと思うんですけど、そういう想定外のことが起きたり、選手が出てきたりすると、ちょっと対応できないところがあるのかなという印象があります。

――「絶対王者」というわけではなく、意外に脆さもある選手だということでしょうか?

渡辺:特にメンタル的な部分では、それほど強い選手だと感じたことはないかもしれないですね。

鈴木:昨年の大分国際車いすマラソンでも、自分一人でクラッシュを起こしてしまうこともあるくらいですからね。

――それでも現時点で最も強いランナーであることは間違いないと思いますが、彼に勝つためには、何が必要ですか?

渡辺:これはマルセル選手だからというわけではないのですが、強い選手に勝つには、まずは最後まで一緒に走れるかどうか。これが一番最初の条件になってくると思います。途中で逃げて勝ち切るというのは、やはり難しいですから、どんな展開になっても最後まで一緒に走り切ること。その力がないのに、勝てるわけがないですからね。そして、その次にくるのが、スプリント力。最近のメジャーマラソンでは、誰かが前に飛び出すというレース展開はほとんどありません。何人かの集団で行って、ゴール直前での勝負になることが多いんです。ですから、以前よりもスプリント力が求められる時代になってきているなと感じています。

――そのためには、どういうものが必要とされますか?

鈴木:スタミナ、スプリント力はもちろんですが、メンタルの強さも重要だと思います。マラソンでも、結局はラスト100mでの勝負になることもよくあるので、そういう場面で「絶対に勝つ」と強く思えるメンタルは絶対に必要だと思います。全体的な力を考えると、マルセル選手が10だとすれば、今の僕はまだ2くらいのものだと思います。

渡辺:僕は、9くらいですかね(笑)。というのは冗談で、マルセル選手の足元にも及ばないですよ。まだ一緒に走る力がないですから。

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東京マラソンは飛び出しについていけるかがカギ

――さて、2人は2017年をどんなシーズンにしたいと思っていますか?

鈴木:僕は、とにかく経験値がまだまだ不足していると感じていて、4月からは社会人になるので、これからはどんどんレースに出たいと思っています。特に海外でのレース経験を積みたいなと。強い海外選手がいる空気感というものにも慣れなければいけないと思いますし、レースだけではなくて、トレーニングの方法についても情報などを得て、取り入れていきたいですね。次々と強い選手が誕生する欧米は、おそらくトレーニング方法が確立されているのかなと。そういうことも勉強していきたいと思っています。

渡辺:今年は、いろいろとチャレンジしていこうと思っています。レースでも、今までにしてこなかったようなことをしたいなと。例えば、1月のオーストラリア遠征では、1500mのレースで、残り500、600mからしかけたんです。手応えとしては、他の選手の状態が上がっていなかったので、何とも言えないのですが、自分自身が「行くぞ」と決めて、その通りに躊躇なくパッと行くことができたのは、一つ良かったなと。それこそ、後ろを気にしながら少しずつ上げていくんじゃなくて、後ろからさされてもいいや、という気持ちで100%の力で行けたんです。今までだったら、そんな一人で飛び出す勇気はなかなか持てなかったのですが、そういうことをこれからどんどんやっていきたいなと思っています。それと、国内外に問わず、合宿を増やしたいですね。朋樹が言ったように、いろんな選手から情報を得たいなと。それこそ、マルセル選手が普段どんなトレーニングをしているかもすごく気になりますしね。

――26日には、今大会からボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークと同じ「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」の仲間入りをした「東京マラソン」が行なわれます。どんなレースをしたいですか?

渡辺:僕は今年のマラソンのテーマを「苦手を得意へ」としているんです。これまでは、スローペースの中で、何度かしかけがあってレースが動くみたいな展開を好んでいて、逆にハイペースなレース展開は苦手としていました。でも、今年はコースが替わって、「高速レースになる」と言われていることもあるので、自分から積極的にハイペースのレースにもっていきたいなと思っています。今年の目標としては、「日本人トップ」になること。いくつかのメジャー大会に出場する予定なのですが、その中で一度でも日本人トップになることが目標です。東京マラソンは、その最初の挑戦の場として狙っていきます。今の自分にとっては、相当厳しいとは思いますが、決して狙えない目標ではないと思っています。

鈴木:自分から仕掛けるというよりは、とにかくマルセル選手と一緒に走っていれば、最後まで先頭集団にいられると思うので、日本人トップは狙えるはず。僕も日本人トップは絶対に誰にも譲りたくないと思っています。

――レース自体は、どんな展開をイメージしていますか?

渡辺:最後まで大集団で行くということはないと思います。おそらくどこかでマルセル選手がしかけると思うので、それについていける数名だけのトップ集団になるのかなと。

鈴木:そうですね。マルセル選手のスプリント力についていける選手だけがトップ集団に残れるということになると思います。必ずマルセル選手はしかけてくるはずなので、彼の後ろは誰にも譲らないという気持ちで行くつもりです。

――マルセルの飛び出しについていく自信はありますか?

鈴木:手前味噌ですが、日本人選手の中ではスプリント力は誰にも負けていないと思うので、僕自身はついていける可能性は高いと思っています。

渡辺:他の選手の仕上がり具合がわからないので、何とも言えないのですが、ついていけるとしたら、朋樹と僕と、あと1人2人かなと。でも、必ずマルセル選手が勝つとは限らないと思っています。(クラッシュをした)昨年の大分のようなこともありますからね。だから、とにかく誰であろうと、飛び出しには素早く反応していきたいと思っています。

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リオメンバーには負けられない戦い

鈴木:勝さんは、今年の東京マラソンは、どんなふうにして勝とうと思っていますか?

渡辺:理想としては、やっぱりスプリンターがいない状態で、誰かが逃げたのをついていって、逆に自分が逃げ切るというかたちかな。ただ、そういうレースは楽だろうけど、面白くはないだろうなぁ。

鈴木:確かに楽だとは思いますけど、僕はそういう展開は絶対にないなと思うんです。たとえ誰かが高速キープで逃げたとしても、必ずそこにマルセル選手はいるんじゃないかなって。

渡辺:でも、大分を見る限り、コーナリングはそれほど上手くはないと思うので、そこらへんはチャンスになるのかなと。ただ、朋樹が言うように、普通に考えれば、マルセル選手が集団から遅れるということはほぼほぼないよね(笑)。まぁ、現実的には最後のスプリント勝負になるか、あるいはマルセル選手が単独で逃げてしまうか。

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――もしかしたらマルセル選手、渡辺選手、鈴木選手の三つ巴の戦いになることもあるのでは?

渡辺:勝負ですから、どんなパターンもあり得るので、そういうこともあるかもしれませんね。もし、そうなったら見ていて面白いレースになるでしょうし、自分も楽しいでしょうね。

鈴木:マルセル選手も初めてのコースで熟知しているわけではないですから、どこでアクシデントが起こるかわかりません。となると、もしかしたら、僕たち2人ということも十分にあり得ると思います。

渡辺:僕個人としては、リオに出ることができなかった悔しさというのはやっぱり強くて、そういう意味でも、リオに出た選手たちには負けたくないという気持ちがあるんです。それこそ、西田(宗城)さんも含めて、朋樹と3人で、勝ちたいなと。朋樹はどう?

鈴木:もちろん、あります。リオに出た方々には負けないぞ、という気持ちで東京マラソンは臨むつもりです。実際、リオのメンバーに勝たなければ、日本人トップにはなれないと思いますので、勝ちにいきます。

――自分たち若手の時代にしていくと。

鈴木:2020年東京を考えても、やっぱり僕たち若手がそろそろ出ていかないといけないと思うんです。

渡辺:僕たち若手が伸びていかないと、やっぱりパラ陸上界全体が盛り上がらないと思うんです。そういう意味でも、今回の東京マラソンでは、僕ら若手が活躍しなければいけないと思っています。

切磋琢磨し、陸上界を盛り上げていく存在へ

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――2人はそれぞれお互いにどんな印象を持っていますか?

鈴木:僕が本格的に陸上をやり始めたのは大学に入ってからでしたが、その前から勝さんがすごい選手だというのは知っていましたし、「いつか勝ちたいな」という思いはずっとありました。

渡辺:僕は、気付いたら朋樹に抜かれていた感じですね(笑)。「鈴木朋樹」という選手を認識した時には、もう自分よりも速くなっていて、「あれ……」という感じでした。

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――これまで一緒に走ったレースは?

渡辺:2015年のスイスのレースで、800mを一緒に走ったのを覚えています。最後の直線に入る前に、朋樹にスパーンと抜かれたんです。

鈴木:そうでしたっけ?でも、今回の東京マラソンでは、それ以来、久しぶりに一緒に走る感じですよね。

――お互いに強さというのは、どこに感じていますか?

渡辺:朋樹は、誰かがパッと飛び出した時に、瞬時にギアを上げてついていく力というのは、特に強いなと思いますね。スプリント力、加速力という点においては、今の日本人ランナーの中では群を抜いていると思います。なので、どちらかというと、集団の中に一緒にいたくない選手ですね(笑)。

鈴木:僕は、体の使い方がすごいなぁと思っていつも見ています。巧さとか器用さというのは、僕にはない部分なので、羨ましいなと。

渡辺:いやいや、自分は不器用ですよ(笑)。

鈴木:いえいえ、器用ですよ。なかなか言葉では説明できないのですが、柔らかさもありますし、僕が頭の中で「こういうふうにしたいな」と思っている通りに勝さんは漕いでいるんです。パワーでいくというよりは、スパンスパンと駆けるようなイメージですね。

渡辺:それこそ、マルセル選手は器用ですね。順行の時は、柔らかいフォームで漕いでいるんですけど、加速する時には力強い漕ぎ方に変わるんです。そういうところが、彼の強さなのだと思います。

――お互いをどういう存在に感じていますか?

渡辺:僕にとってはライバルというか、マルセル選手と同様に、負けたくない相手の一人として見ています。なので、これからも切磋琢磨していきたいなと思っています。

鈴木:もちろん、勝ちたい相手ではありますが、勝さんがいると、練習のモチベーションがすごく上がるんです。僕はまだまだわからないことが多いのですが、勝さんの方から声をかけてきてくれるので、すごくありがたいし、質の高い練習ができているような気がするんです。

渡辺:そう言われると嬉しいし、朋樹とはこれからパラ陸上界を盛り上げていきたいと思っているんやけど、朋樹は、これからどうしていきたいとかってある?

鈴木:合宿を選手同士の情報交換の場にしていきたいなと思いますね。もちろん、お互いに「負けたくない」という気持ちは必要だと思いますけど、でもそういうバチバチするだけじゃなくて、みんなで思っていることを話せるような、そんな合宿になればなと。

渡辺:(強化指定選手の中では)最年少の朋樹が、積極的に意見を言ってくれると、すごくいいよね。

鈴木:そうですね。自分も、もっと意見をきちんと伝えていきたいなと思っています。勝さんはどう思っているんですか?

渡辺:もっと、オンとオフの切り替えのあるようにしていきたいなというのはあるかな。やっぱり練習中は最後まで集中してやることが大事で、そういう小さな積み重ねがレースにつながると思うんだよね。そういうふうに、全体でレベルアップを図れるような内容の合宿にしていければなと。今どんどんいい方向に変わってきていると思うから、さらにいいものにしていきたいね。

東京で目指すのは「金メダル」

――今後、メインにしていこうと思っている種目は?

鈴木:僕はこれまでと変わらず、800m、1500mの中長距離を軸にしていこうと考えています。国内で開催されるマラソンのレースにも出場しますが、それは正直、マルセル選手と走りたいという気持ちだけなんです。海外のマラソンレースを転戦して、ということは、ちょっと今は考えられないので、マラソンをメインにするということはないですね。

渡辺:僕はもともとマラソンで世界一になりたくて陸上を始めて、そのためにスプリント力を磨かなければと思ってトラックをメインにしてきたのですが、そのスタンスは変わらないですね。やっぱり、ゆくゆくはマラソンで勝ちたいと思っています。

――2020年東京パラリンピックに対する思いとは?

鈴木:僕にとっては、もともと本番は東京という気持ちがあって、正直に言えば、リオはその東京の前に経験すべき「通過点」という位置付けでいました。でも、そのリオに行くことができなかったので、日本代表に選出されれば東京は自分にとって初めてのパラリンピックということになります。リオに行くことができなかったことで、さらに厳しさは増したとは思いますが、それでも自国開催ということもありますし、メダルを取りたいという気持ちがあります。今の自分にとっては、それが一番の目標となっています。

渡辺:僕はリオでまずはトラックで勝負をして、自分がどんな走りができるかで、東京へのプランを立てるつもりでいました。でも、リオには行くことができなかったので、東京ではもう一度同じように、まずはトラックで勝負しようと思っています。そして、できればマラソンもというふうに考えています。

――2020年東京での目標は?

鈴木:まずは昨年7月の関東選手権で出した記録(1分33秒34:2016シーズンの世界ランキング3位)を、もう一度、二度、出して、マグレではなく、確実なものにしたいと思っています。その先に、まだ漠然とではありますが、東京での金メダルがあるのかなと。今はまだ遠い目標ですけど、アスリートとしてはやっぱり目指すべきものだと思っています。

渡辺:僕はまだ「金メダルを取ります」とは言える立場ではありませんが、それでもやっぱり目指すのは金メダルです。理想としては、日本人トップになれば、金メダルを狙えるというくらいに、日本全体でレベルアップする中で、その競争の中に自分がしっかりといること。僕にとっては、2位も3位も同じ。勝つか負けるかのどちらかしかないので、銀や銅ではなく、目指すは金メダルただ一つです。

(文・斎藤寿子)