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新コースを攻略する「車いすランナー」は誰だ! 東京マラソン2017記者会見

記者会見にのぞんだ選手たち(撮影:越智貴雄)

記者会見にのぞんだ選手たち(撮影:越智貴雄)

 2月26日(日)に行われる東京マラソン2017車いすエリートの部に出場する招待選手が24日、都内のホテルで記者会見に臨んだ。

 11回目となる今年の話題はまず、コースが一部変更されたことだ。スタートは変わらず、都庁前(新宿区)だが、フィニッシュ地点がこれまでの東京ビッグサイト(江東区)から東京駅前の行幸通りとなったのが大きな変化だ。昨年まで選手を苦しめた終盤のアップダウンがなくなり、全体的に平坦なコースになり、好記録も期待できる。

会見場で海外からの選手を出迎える副島氏(撮影:越智貴雄)

会見場で海外からの選手を出迎える副島氏(撮影:越智貴雄)

 昨年大会までは出場選手の一人でもあった、副島正純車いすレースディレクターは、「新コースでは30km以降に上り(坂)が減り、車いすレースにとっても(タイムを狙う)いいチャンス。自分が走るとしたら、30km以降の余力を残すことなく、前半どれだけ突っ込めるか。そこからまた展開を変えていければ面白い」と展望を話した。

昨年大会、日本人トップでゴールしリオ切符を掴んだ洞ノ上(撮影:越智貴雄)

昨年大会、日本人トップでゴールしリオ切符を掴んだ洞ノ上(撮影:越智貴雄)

 出場選手のうち、昨年大会3位で、リオデジャネイロパラリンピックでは7位入賞の洞ノ上浩太(ヤフー)は、目標タイムとして「1時間22分」とし、自身がもつ日本記録(1時間20分52秒)に迫るタイムを挙げた。自らを「スタミナ派」と話し、後半のアップダウンがなくなったことで、「(最初から)ハイペースのレースに持ち込み、自分は一瞬のスキも出さず、相手が一瞬でもミスったら、ちぎるぞという練習を積んできた」と意気込んだ。

若手注目株の鈴木朋樹。記者会見で「他の選手に比べたら自信がある」と力強く話した(撮影:越智貴雄)

若手注目株の鈴木朋樹。記者会見で「他の選手に比べたら自信がある」と力強く話した(撮影:越智貴雄)

 15年大会で初マラソンながら2位に食い込み、伸び盛りの鈴木朋樹(関東パラ陸上競技協会)は、これまで仕掛けどころだった終盤の起伏がなくなり、「(展開が)どうなるか分からない分、面白いレースになると思う。スプリント力には自信があるので、頑張りたい」と話した。

 昨年から国際化され、今年も海外から有力選手が集まる。会見に臨んだ、昨年の東京マラソン 2 位のエルンスト・バンダイク(南アフリカ)は、「ワクワクしているが、昨年とはコースも新しく、選手の顔ぶれも違うので新しい戦略も必要」とみる。

リオデジャネイロパラリンピックで2つの金メダルを獲得したマルセル・フグ(撮影:越智貴雄)

リオデジャネイロパラリンピックで2つの金メダルを獲得したマルセル・フグ(撮影:越智貴雄)

 来日日程の関係で会見は欠席したが、他の選手から要警戒選手として名前が上がったのが、マルセル・フグ(スイス)だ。東京マラソンは初挑戦となるが、リオデジャネイロパラリンピックの金メダリストで、今季のアボット・ワールドマラソンメジャーズ(*)対象大会ですでに6勝(ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、リオパラリンピック)を挙げており、スタミナも、スプリント力もある「絶対王者」だ。

 洞ノ上は、「マルセル選手は頭一つ抜けているので、彼を中心に展開すると思う」とは予測し、鈴木は、「マルセル選手から離されないようについていきたい」と抱負を語る。

 新コースとなり、仕掛けどころのアップダウンも減ったことで、過去大会経験者にとっても未知数の部分が多い今大会。誰がレースをつくり、どう抜け出すのか展開が注目される車いすレースの部は2月26日(日)、9時5分に号砲が鳴る。

アボット・ワールドマラソンメジャーズシリーズとは?
2006年にスタートしたマラソン版「グランドスラム」で、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティの5大会と、オリンピックと世界選手権が対象大会だったが、2013年シリーズから東京マラソンも対象大会として加わった。車いすマラソンレースシリーズも2016年4月のボストン大会から幕開けした第10回シリーズから新たにスタートし、2017年1月時点で、男子はマルセル・フブ(スイス)が、女子はタチアナ・マクファーデン(アメリカ)が首位に立っている。今季最終戦は今年4月のボストン大会となる。

車いすエリート出場選手 (ゼッケン/氏名/国籍・所属/年齢(大会当日時点)
<男子>
1001 マルセル・フグ(スイス) 31
1002 エルンスト・バンダイク(南アフリカ) 43  
1003 ジョシュア・ジョージ(アメリカ )32
1004 洞ノ上 浩太(ヤフー)42
1005 西田 宗城 (バカラパシフィック) 32
1006 鈴木 朋樹 (関東パラ陸上競技協会) 22
1021 山本 浩之 (福岡) 50
1022 久保 恒造 (日立ソリューションズ) 35
1023 吉田 竜太 (SUS) 35
1024 廣道 純 (プーマジャパン) 43
1025 吉田 高志 (奥アンツーカ) 38
1026 安岡 チョーク (リーフラス) 44
1027 渡辺 勝 (TOPPAN) 25

<女子>
1102 鄒 麗紅(中国) 33
1103 アマンダ・マグロリー (アメリカ) 30
1104 マニュエラ・シャー (スイス) 32
1105 スザンナ・スカロニ (アメリカ) 25
1106 中山 和美 (アクセンチュア) 33
1121 喜納 翼 (沖縄県身体障害者陸上競技協会) 26
(*出場予定だった、1101 タチアナ・マクファーデン(アメリカ) 27 は、体調不良のため、欠場)

(文:星野恭子)

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