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スポーツは平和の証 長崎出身のパラリンピアン・副島正純選手、被爆80年の地で語る

平和と走りへの思いを語る長崎出身のパラリンピアン・副島正純選手(中央、撮影:越智貴雄)

8月9日の長崎原爆の日、長崎市のアミュプラザ長崎・かもめ広場で「被爆80年 忘れないプロジェクト+」が開かれた。写真展や体験ブース、ステージイベントなどが行われ、多くの市民や観光客が足を止めた。

この日、長崎県諫早市出身でパラリンピック4大会に出場した車いすマラソンの副島正純選手も参加。特設ブースでは競技用車いすを使ったローラー体験を実施し、訪れた子どもや家族連れに腕の使い方や競技の魅力を熱心に伝えた。

競技用車いす“レーサー”を体験する参加者に、中央の副島正純選手が漕ぎ方を指導する(撮影:越智貴雄)

レーサーを体験した長崎県瓊浦高校1年で陸上部の古野真凰さんは「思った以上にスピードが出ませんでした。副島選手が時速30キロでマラソンを走るなんて、腕や筋肉が本当にすごいんだろうなと思いました」と話した。同じブースに展示された副島選手のレース写真には「疾走感がすごい!」「かっこいい」と驚きの声が上がった。

ステージイベントでは、被爆三世の歌手HIPPYさんや平和の語り部・ゆーみんさん、シンガーの菅原花月さん、変面師の小林奈々さんらとともに「生きる」をテーマにトークを展開。副島選手は「スポーツは平和でなければできない。何も考えず競技に打ち込めるのは、先人たちの苦労や痛みの上に今の平和があるから。この時期になるとその思いが強くなる。長崎生まれとして8月9日は忘れたくないし、“長崎=平和”という思いを伝えていきたい」と語った。

会場で平和への願いを込めて折り鶴を作る親子(撮影:越智貴雄)

会場では折り鶴作りや平和メッセージの寄せ書き、美文字アートのワークショップなども同時開催。被爆から80年の節目を迎えた取り組みは、世代を超えて交流し、記憶を継承する場となった。

(取材・文:越智貴雄)

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