笑顔がつなぐパラスポーツの輪「BEYOND STADIUM 2025」で広がる共生の思い

車いすテニスの体験を終え、笑顔で記念撮影する参加者とパラアスリートたち(撮影:越智貴雄)
11月1日と2日、東京2025デフリンピックの開催も控える中、子どもたちがパラアスリートらと一緒に楽しくスポーツに触れる体験型イベント「BEYOND STADIUM 2025~パラスポーツ広場~」(主催:東京都)が新宿住友ビル 三角広場で開催された。家族連れや子どもたちが多数来場し、会場には笑顔と熱気が広がった。

車いすバスケットボールの体験に挑戦する子どもたち。シュートが決まるたびに歓声が上がった(撮影:越智貴雄)
このイベントは、子どもたちに楽しみながらパラスポーツへの理解を深めてもらうことを目的に実施。
ボッチャ大会「BOCCIA BEYOND CUP」や車いすバスケットボール、車いすテニス、ブラインドサッカー、義足ランニングの体験コーナー、トークイベント、ダンスなど、2日間にわたり多彩なプログラムが展開された。

トークイベントで語り合う(左から)風間さん、岡本選手、純子さん(撮影:越智貴雄)
2日目のトークイベント「パラバディトーク」では、俳優でパラ応援大使の風間俊介さんが司会を務め、パラ陸上の中西麻耶選手と義肢装具士の齋藤拓さん、パラスノーボードの岡本圭司選手と妻の純子さんが登壇。「アスリートを支える“バディ”の力」をテーマに、それぞれが競技の裏側や支え合う日々を語った。
来年3月に開催されるミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックへの出場が推薦内定している岡本選手は、脊髄損傷や右足の粉砕骨折など二度の大怪我を乗り越えて再び世界の舞台へ挑む。
「妻の支えがあったからこそ、ここまで滑ってこられた。夫婦であり仲間であり、人生を共にするバディです。しっかり結果も狙いつつ、滑ることを楽しむ姿を見せたい」と穏やかに語った。

トークイベントでパラスポーツの魅力と“バディ”の大切さについて語る風間俊介さん(撮影:越智貴雄)
司会を務めた風間さんは、「今日、皆さんに少しでもパラスポーツの魅力、そしてバディの素晴らしさが伝わったらうれしいです。パラスポーツが大好きなので、来年の冬季パラリンピック、さらにロサンゼルスパラリンピックも一緒に応援していきたいです」と笑顔で語った。

エキシビションマッチ。ゲストの猪狩ともかさん(左から2人目)もプレーを体験した。左から遠藤選手、猪狩さん、廣瀬選手、杉村選手(撮影:越智貴雄)
また、パリ2024パラリンピックで銅メダルを獲得したボッチャ日本代表『火ノ玉JAPAN』によるエキシビションマッチも行われ、杉村英孝選手や廣瀬隆喜選手、遠藤裕美選手の緻密なショットに観客は息をのんだ。
そのほか、車いすバスケットボールや車いすテニス、ブラインドサッカーなどの体験イベントも行われ、子どもたちはパラリンピック出場経験のあるトップアスリートらに教わりながら、夢中でボールを追いかけたり、車いすを操作したりしていた。会場のあちこちから笑い声と歓声が響いた。

車いすテニス体験で子どもたちにボールを手渡すパラリンピアンの眞田卓選手。笑顔がはじけ、会場は温かい雰囲気に包まれた(撮影:越智貴雄)
東京都スポーツ推進本部スポーツ総合推進部パラスポーツ課の渋谷徹課長は、「障害のある人もない人も同じ空間で自然にスポーツを楽しんでいる姿が印象的でした。子どもたちがパラスポーツを体験することで、それを“当たり前”に感じられるようになれば、共生社会の実現にもつながっていくと思います」と話した。
“パラスポーツを楽しもう!”を合言葉に開かれた「BEYOND STADIUM 2025」。障害の有無や世代を超えて交わった2日間は、パラスポーツが持つ“支え合う力”を改めて感じさせる場となった。
(取材・文:越智貴雄)





