パラスポーツ、始めてみたい!J-STARって何?日本パラスポーツ協会に聞いてみた【一問一答】

基礎測定会では、記録計測も丁寧に行われる(撮影:越智貴雄)
将来のパラリンピック代表を目指すアスリートを全国から発掘する「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STAR)」。2025年度の測定会が6月28日に神戸市でスタートし、今後、全国各地で順次開催されていきます。
でも、「自分にも関係あるの?」「スポーツ未経験でも参加できるの?」と疑問に思っている方も多いはず。今回は、日本パラスポーツ協会(JPSA)の強化部競技団体支援課長の小塩聡さんに、参加に向けての質問を一問一答形式で伺いました。
日本パラスポーツ協会に聞いてみた【一問一答】

一問一答に答えてくれた、日本パラスポーツ協会(JPSA) 強化部・競技団体支援課長の小塩聡さん(撮影:越智貴雄)
Q1. そもそも「J-STARプロジェクト」とは、どんな取り組みですか?
A. 全国を対象に、将来パラリンピックで活躍する可能性を持つ“アスリートの卵”を発掘するプロジェクトです。競技経験の有無を問わず、日本全国さまざまな地域から人材を見出すことを目的としています。
Q2. 誰でも参加できますか?年齢や障がいの種類に制限はありますか?
A. はい、今年度は2025年4月1日時点で満11歳(小学6年生)以上であれば、どなたでも参加可能です。パラリンピック競技に該当する種目を目指す方で、肢体障がい、視覚障がい、知的障がいのいずれかに該当する方が対象となります。
Q3. スポーツ未経験でも大丈夫でしょうか?
A. はい、大丈夫です。知的障がいのクラスについては参加基準の設定がありますが、未経験からのスタートでも問題ありません。運動が好き、興味がある、という気持ちがあれば十分です。

ウォーミングアップを行うJ-STAR基礎測定会の参加者たち(撮影:越智貴雄)
Q4. 基礎測定会では、どんなことをするのですか?
A. 体力測定と競技相談が中心です。測定では、立ち幅跳びや短距離走などの基本的な運動能力を確認します。その後、各競技団体のスタッフと相談し、自分に合いそうな競技を見つける「マッチング」の場も設けています。
Q5. 自分に合った競技は、どのように決まっていくのですか?
A. 基礎測定会の結果をもとに、各競技団体が「この人は可能性がある」と感じた方を選抜します。そのうえで、ご本人の希望とあえば合宿などを通じて競技体験を行い、適性をさらに見極めていきます。その後は各競技団体の育成・強化プログラムに進んでいただく形になります。J-STARは、その「最初の一歩」を支援するプロジェクトです。
Q6. 参加には費用がかかりますか?
A. 基礎測定会への参加費は無料です。ただし、交通費や昼食などは各自でご負担いただいています。会場は全国各地にありますので、お住まいの地域に関わらず、どのブロックにもご参加いただけます。

パラ陸上競技では、義足などの専用器具が競技パフォーマンスを左右する重要な要素となる(撮影:越智貴雄)
Q7. パラ競技は道具にお金がかかると聞きますが、実際は?
A. 競技によっては、専門の道具や装具が必要になることもあります。しかし、J-STARの段階では、競技団体と連携しながら必要な支援が受けられるような制度を設けています。最初のステップで金銭面の負担がネックになることは、できる限り減らせるよう工夫しています。
Q8. 家族や支援者と一緒に参加してもいいですか?
A. はい、ご家族や支援者の同伴は可能です。不安なことがある場合は、ぜひ一緒にお越しください。
Q9. 測定会に参加した人のうち、どれくらいの人が次のステップに進めるのですか?
A. 昨年度は、全国で約200名の方が測定会に参加し、そのうち半数近くが「検証プログラム(次のステップ)」に選出されました。さらにその中から各競技団体の強化・育成コースへ進んでいる選手も多くいます。

パリ・パラリンピックで金メダルを獲得したゴールボール男子日本代表。右から2人目は鳥居陽生選手(撮影:越智貴雄)
Q10. J-STAR出身でパリ・パラリンピックに出場した人はいますか?
A. はい、J-STARから選出された選手のうち、8名がパリ2024パラリンピック競技大会に出場しました。たとえば、ゴールボール男子代表の鳥居陽生選手は金メダルを獲得。水泳女子200m個人メドレー(SM14)に出場した木下愛萊選手は銅メダルを獲得しました。さらに、パラ陸上の石山大輝選手は日本代表の旗手も務めています。
Q11. 興味はあるけど迷っています。どうすればいいですか?
A. まずは、日本パラスポーツ協会の公式サイト内「J-STARプロジェクト」特設ページをご覧ください。そこには各地の開催情報が掲載されています。また、お近くのパラスポーツセンター等でも情報を得ることができます。J-STARのほかにも、地域で実施されているアスリート発掘プログラムなどもありますので、ぜひ幅広くチェックしてみてください。

神戸親和大学の学生らが測定員として参加。会場の雰囲気を明るく支えた(撮影:越智貴雄)
「皆さんに希望はあります」——これは、JPSAの小塩さんが語った印象的なひと言でした。
パラスポーツに触れる最初の扉は、想像以上に開かれています。
ぜひ多くの方に、気軽に参加していただけたらと思います。
取材・文:越智貴雄