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車いすで階段昇降!慶大チームとパラリンピアンがタッグ サイバスロン車いすシリーズ日本2019

慶大チームのパイロットをつとめたパラリンピアンの野島弘さん(撮影:越智貴雄/ETH Zurich)

 障がいの当事者と技術者が一丸となって独自のマシンを開発し、さまざまな種目を競う国際競技大会「サイバスロン」。その電動車いす部門だけが行われるシリーズ戦「サイバスロン車いすシリーズ日本2019」が5日、川崎市スポーツ・文化総合センター(カルッツかわさき)で開催された。海外からの3チームを含む8チームで競われ、スイスのHSR Enhanced(ラッパースビル応用科学大学)が優勝。
 3位には日本勢最上位で、Fortississimo(慶應義塾大学理工学部)が入った。

「障がい当事者にとっての、日常生活における実用的な技術開発の促進」をコンセプトとして、スイス連邦工科大学チューリヒのロバート・リーナー教授が創設した同競技会は、2016年にスイスで第1回大会を開催。その際、『脳コンピューターインターフェース』、『機能的電気刺激バイク』、『電動義手』、『電動義足』、『電動外骨格』、『電動車いす』の6競技が実施され、日本も含む25カ国からチームが参加。今大会はそのうち、電動車いす部門に特化して行われたシリーズ戦。

 障害物の間を縫うスラロームや、階段昇降、ドアの開閉など、日常生活を想定した6つの課題を、制限時間(8分)の間で取捨選択しながらゴールを目指す。クリアした課題の合計得点で競われ、同点の場合はタイム差が適用される。

 3位に入ったFortississimoのパイロット(マシンの操縦者)、野島弘さんは、冬季パラリンピックに2度出場したパラリンピアン。昨年度から慶應大の教授・学生らで構成されたチームとともにマシン開発に携わり、操縦トレーニングに励んできた。2レース行われた予選ラウンドの2本目でバッテリートラブルに見舞われたが、3位決定戦では、すべての課題をクリア。Team OECU&H(日本/大阪電気通信大学)に勝利した。

 チームメイトが歓声をあげる中、3位決定戦を終えた野島さんはレース後、「(予選でのトラブルを踏まえて)丁寧な操縦を心がけて進んだ」と話し、大会の意義について「勝敗に関係なく、複数のチームが参加したことに価値がある」と語った。

 今大会を皮切りに、今年度は欧州各国でシリーズ戦が開催されたのち、第2回サイバスロンは2020年5月に再度スイスで開催予定となっている。

(取材・文:吉田 直人)

サイバスロン車いすシリーズ日本2019最終結果

1位 チーム:HSR Enhanced(スイス) / パイロット:Florian Hauser
2位 チーム:Caterwil(ロシア) / パイロット:Lurii Larin
3位 チーム:Fortississimo(日本) / パイロット:Hiroshi Nozima
4位 チーム:Team OECU&H(日本) / パイロット:Toshiki Ogura
5位 チーム:B-FREE HK(香港) / パイロット:Keiichi Oeda
6位 チーム:UT-MOBIRO(日本) / パイロット:Masato Yamada
7位 チーム:TEAM C.I.T(日本) / パイロット:Takezou Abe
8位 チーム:RT-Movers Jr.(日本) / パイロット:Hideki Takada

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